タイの食べ方

茶碗でご飯を食べる習慣はありません。
茶碗やどんぶりを手で持って食べる習慣もありません。
僧侶は普通は食事にテーブルを使わないので、床に置いた皿やどんぶりから口までの長い距離をすくって食べます。
皿やどんぶりを手で持ちあげることは一般人でも犬みたいだとされ行儀が悪いです。
犬は食べ物全体に口を近づけて食べるので食べ物を食器ごと手で持ち上げて口に近づける行為が犬みたいだとされます。
タイで手で持ちあげていいのはコップぐらいです。
スプーンで一口ずつ床から持ってくるのでボロボロこぼしまくってしまいます。
上手にやればいいのかも知れませんが床から口までは距離があるので効率が悪いです。
行儀よく背筋を伸ばせばさらに難易度があがります。
問題はスープ類です。
スープは液体なのでこぼしやすく、普通のスプーンではわずかな量しかすくえません。
食器を持ち上げてはいけずしかも食器を床に置いているので普通のスプーンで一口ずつ汁をすくうのは大変すぎます。
それで、タイでは一回ですくえる量が多い中華スプーンが広く使われています。
普通のスプーンと中華スプーンを使い分けする場合もありますが、使い分けしないで中華スプーンだけで食べることも多いです。
箸は麺類(主に米製)だけに使います。
また麺類は箸でもいいですが箸を使わずにフォークで食べることも多いです。
もち米のご飯は硬くてスプーンでは食べにくく、無理に力を入れるとスプーンがひんまがることもあるので手で食べることも多いです。
もち米ではない普通のタイ米が日本人に嫌われる理由は味ではなくて、ばらけやすく箸で食べるのが難しいのが理由ではないかと思っています。
中華スプーンで食べるべき品種の米を箸で食べようとするのがそもそもの間違いだと思います。
もち米をご飯として炊いたものであれば箸でも食べやすいかも。
もしくは硬くて食べにくいかも。
もち米はご飯のように食べるのが普通で、もちをつく習慣はありません。
また、ひとりずつ配膳しようとせずに、中国でするようにひとつの皿を複数人でつつきあう食べ方が少なくとも寺では普通です。
共通の皿やどんぶりからよそうスプーンと食べるスプーンを分けようとする人は少ないです。
他人の唾がついた食べ物を食べたくないなら出家は向きません。